お花プラスαで“気軽に立ち寄れるお店づくり”に取り組む、創業より90年を迎える老舗のお花屋さん
昭和2(1927)年の創業より4代続く文京区白山下商店会のお花屋さん「白保花店(はくやすはなてん)」。華道の先生や作家も多く訪れる名店として知られ、生け花に用いる和花の取り扱いも豊富で、一般的な洋風の花束から日本的な要素を取り入れたものまで幅広いニーズに応えてくれます。またその一方で、お花に馴染みの無い方にも訪れやすいようにと2014(平成26)年にセレクトショップを併設させ、“気軽に立ち寄れるお店づくり”に取り組んでいます。
今回は「白保花店」4代目店主のご主人とともにお店を支える奥さまの野上美千代さんに、お店の歴史や地域の魅力についてもお話を伺いました。
野上美千代さん インタビュー
4代続く老舗のお花屋さんが目指す気軽に立ち寄れるお店づくり
Q.まず、「白保花店」の創業より今日に至るまでの歴史を教えてください。
「白保花店」の創業は昭和2(1927)年のことだったと聞いています。もともと「白保(はくやす)」という屋号で明治初期より造園業を営んでいたようですが、昭和2(1927)年から生花も扱うようになり、お花屋さんとしての歴史は来年で90年を迎えます。
Q.素敵なデザインのお店ですが、以前からこの場所にあったのですか?
現在のお店はビルの建て替えとともに2007(平成19)年に完成したものですが、創業以来ずっとこの場所にお店を構えています。2014(平成26)年にはお店の一画に子供服や雑貨を扱う“セレクトショップ”も併設させ、あらたなお店づくりに取り組んでいるところです。
Q.セレクトショップを併設させようと思ったきっかけはありますか?
以前の「白保花店」は、古くからこの地域にある他のお花屋さんと同じように、お店に入ると正面には菊のお花が置かれていて、お墓参りやご自宅の仏壇に供える仏花を中心に扱っていました。
このあたりはお寺も多く、定期的に足を運んでくださるお客さまも多かったのですが、時代の流れとともに若い世代の方にとってはお墓参りそのものが疎遠になってしまい、また常連だったご近所の方もご高齢になって以前ほど足繁く通えないという状況もあり、お店の転換が求められていました。
Q.あたらしくなったお店の特徴や、大切にしていることを教えてください。
お店を改装するにあたって大切にしたのは“気軽に立ち寄れるお店づくり”です。お花やお花屋さんに馴染みの無い方にとっては、お店に一度入って何も買わずに出てくるというのはなかなか難しいことですし、“一度入ったら何か買わなきゃいけない”という敷居の高さがあるように思います。
そこで洋服や雑貨を扱うことで、それまでお花屋さんになかなか足を運ぶ機会のなかった若い世代の方々にも来ていただければと、セレクトショップを併設しました。
扱っている商品は子供服からバッグや帽子、アクセサリーといったファッション雑貨、食器、インテリア、フェアトレードで仕入れたコーヒー豆など幅広く、逗子でアパレル店を経営していたときの経験を生かしています。なかでもヴィンテージものの子供服が人気で、まだお子さんが小さく遠くまで買い物に行けないという子育て中のお母さんにもご好評をいただいています。
和花や枝ものから観葉植物まで、幅広いニーズに応える
Q.取り扱っているお花の特徴や種類についてもお聞かせください。
古くからあるお店のため、華道の先生や作家として活動している方も多くいらっしゃいます。そのため、生け花用の和花や枝ものも充実しているのが特徴で、一般的な洋風の花束ともまた違う雰囲気の花束もご提案することが可能です。
卒業、入学シーズンともなると近隣の学校からも多くのご要望をいただき、地域に根ざしたお店として日々お花の魅力を提案しております。
また近隣の法人、企業のお客さまも多く、急なご要望にも応じられるよう新鮮できれいな胡蝶蘭を数多く取り扱っているのも特徴のひとつです。
Q.観葉植物の種類も豊富ですね?
お店を新しくしてから、若い世代の方や近隣のマンション住まいの方にもお花に親しんでいただけるよう、観葉植物も多く取り扱うようになりました。また陶器の鉢や布製の鉢カバーなどと一緒に店頭に並べることで、買ってそのままお家で飾れる気軽さにも工夫しています。
白山には紫陽花で有名な「白山神社」もあり、この時期は店頭に紫陽花も並べています。ご住職が少しずつ増やした紫陽花も今はおよそ3,000株にものぼり、「文京花の五大まつり」のひとつとして観光客も大勢いらっしゃいます。
当店でも毎年、狛犬の前の飾りつけを担当させていただき、地域の行事やイベントにも積極的に取り組んでいます。
街に根差し、街の人と協力する地域のお花屋さん
Q.そのほかに白山ならではのイベントはありますか?
「白山神社」で行われる「文京あじさいまつり」は、6月中旬から約1週間にわたって開催されます。期間中は午前9時から午後5時まで公開され、土日になると模擬店がならび、地元の「文京区立駒本小学校」や「東洋大学」による演奏なども披露されます。
また11月初旬に開催される「チャリティー感謝祭」も地域ならではのイベントです。「白山下商店会」が中心となって行われる地域のおまつりで、うちも協賛というかたちでお祭りを盛り上げています。
Q.白山エリアの地域の特徴や魅力だなと感じるのはどんなところですか?
まず街の雰囲気が良いと思います。以前生活していた逗子とは環境はだいぶ異なりますが、何世代にもわたって古くからその土地に住んでいる方と、その土地に憧れて移り住んでくる若い世代の方がそれぞれいて、調和がとれているように感じます。
白山下商店会でも、地元の「文京区立指ケ谷小学校」や「文京区立小日向台小学校」の職場体験を受け入れるなど地域のみんなで子どもたちを見守っています。
Q.最後にこれから白山エリアに住まわれる方へメッセージをお願いします。
お花屋さんに“一度入ったら何か買わなきゃいけない”という敷居の高さを無くすため、2014(平成26)年に“セレクトショップ”を併設させました。かわいい雑貨やお花を見るだけでも気分転換になるため、日々の子育てでなかなか遠くに出かけられないお母さんなど、ぜひ気軽に足を運んでください。
「白保花店」は、創業より90年を迎える地域のお花屋さんとしてその経験を生かしつつ、今後はお花だけでなく“ライフスタイルを提案する”より身近なお店として地域とともに歩んで参ります。
今回、話を聞いた人
白保花店
野上美千代さん
白保花店
所在地:東京都文京区白山1-32-4
電話番号:03-3811-4587
営業時間:平日9:00〜18:30、日曜・祝日9:00〜17:00
定休日:木曜日
http://www.hakuyasu.co.jp